「根気が無い、集中しなさい」といつも母親から叱責されていた。
自宅から小学校まで約2Km、通学路には桃谷商店街と言う生
野区と天王寺区を結ぶ長くて買い物客が溢れる、種々雑多な
沢山のお店が軒を連ねている魅力的なプロムナードがあった。
ワクワクドキドキの連続曲線、高下駄はいた寿司職人が大将と
包丁でチャンチャンバラバラしているのを見た。足を奪われた傷
痍軍人がアコーディオンを弾く傍らにアルマイトの弁当箱が置か
れており5円、10円の小銭が投げ込まれているのを見た。
立ち読み歓迎の新しい書店ができ、巨人の星で消える魔球を
むさぼり読んだ。
とは言うものの一番興味を引いたのはやはり食べ物、坊ちゃん
焼きという今で言う元祖キャベツ焼き、なんと他店の1/5価格
の10円。ねっとりしたメリケン粉の上に生イと卵、鰐口機構で
下方にガスバーナを仕込んだプレス機で焼かれ甘口ソースで
味付けされたイカ焼きは絶品であった。桃谷イカ焼きで検索
すれば、秘伝の生地いか焼発祥の店としてヒットする。
あの当時の綺麗なおねーさんも随分齢を重ねたが今や大阪
名物に。
いつもいつもあまりにも帰宅時間が遅いので母親に尾行され
た様だ「きょろきょろしないでまっすぐ帰り」と注意されたことを
思い出す。GoogleMapで検索すると徒歩30分、振り返れ
ば一時間以上かけて帰っていたのだから心配するのは無理
からぬ事である。
通信簿はいつもALL3(てっぺんが5)、根気がなく集中力が
欠けるあかんたれの子供が成長するにつけその道一筋で功
をなした人に憧れるのは已むを得ない。
一流人はアイドルであった、自分では出来ないがこうであっ
て欲しいとい願望を一流として偶像化しているのだろう。
一流を求める、だからいつまでも一流になれない、だがそれ
でいいのだと思う。
<一流だからこそ一流を選ぶ、選ばれるために3>
ものづくりの世界で求める一流、一流を追いかけて来た
初期を振り返ってみる事で一流に対する一定の答えは
導き出される・・・・・・・・・。