「何度も渡米して対策したけど上手い事製品ができなくて
・・・、このまま飛行機落ちてくれへんかな」材料送りから金
型含むプレス一貫ラインで合理化設備を開発する会社
の社長、冗談言わない人が腹の底から漏れ聞こえる真情
の吐露。開発型メーカ社長が負う新しいものへの挑戦、高
き課題への挑戦が完遂(かんすい)した時の喜びを感じ寝
食を忘れ失敗しても猪突猛進する。失敗すれば奈落の
世界とわっかちゃいるけど止められない。
自分のアイデアとやる気でリスクを背負いながら一攫千金を
夢見る、これぞ起業家、創造する神様に惚れられた男達の
生き様、どうしようもない性(さが)を沢山見てきた。
この世界から足を洗う、「経営の蹉跌」により絶好の機会に
恵まれた。業務用洗剤やワックス、フロアマシンを製造販売
する会社からナカテックの残党5名と共に誘いを受けた。
当面の生活の糧を得て、帰社時に立ち飲み屋で安酒を煽
るお気軽さんの日々が始まった。
今まで最前線で経営していたから俺は「最強のサラリーマン
」と思い込みタイムカードを押すのだが、サラリーマンの世界は
そんなに甘くはなかった。良かれと思う行動はその会社にとっ
て、そこのオーナーにとって良しとは限らない。
「SAY YES」と請け負っても決裁権を持たないスタッフの一員
、決済の指示待ちをもって次に進む。新製品開発やいつでも
外部に出掛けたりする自由があったのだが、会社としては元経
営者をどのように使っていいのか難しい駒。契約も社員でなく
技術顧問で毎年の契約更新のようだった。
破産の傷が癒えてくるにつれ消えてしまったと思った「商い」に
対する情熱の炎を感じるようになってきた。
<人間万事塞翁が馬、意志の赴くまま1>
ナカテックでお世話になった設計事務所の社長が午年Oyaji
の尻(ケツ)を叩いてくれた。最強のサラリーマンとしての思いが
いとも簡単に壊れて行く。
無鉄砲だが意志さえあれば凌げる、そこに新たなる出会いに
よって商いが始まる。