「冬は寒い」には程がある。
手袋をし、フードを被っても露出部が痛い。
手足の指先は幼き頃に経験した霜焼けの危険を感じている。
「身に危険が迫るほどの大雪」「最強寒波到来」とニュースが走る。
本社はウメキタにある高層ビルの32階、日頃は上町FABテクニカルセンターに身を置き、必要に応じビジターとして本社の席に着く。
この天空フロアーを発掘し、取得。
本社として移転登記、息つく暇もなくニューフェースを7人採用。
「おもろない空間や」CEOの一言。
リノベーションしてからの上町からの引っ越し。
間髪入れず元気になるビタミンカラーやミモザモチーフを壁面に注入させ躍動する空間に見事に生まれ変わらせた。
4年に一度のイノベーションを企てるアートデザイナー(戦略家)としての面目躍如。
半年近く掛かった殺人的日々は山を越えつつある。
外は晴れ。
精密検査でアートデザイナーがいない役員室からじっくりと六甲から北摂の山々を見渡す。
みるみるうちにアナと雪の女王が降り立ったように白いベールに包まれる山間部。
目線を落とせば、淀川の川面が寒風により波紋を刻む。
中津LOGIXから始まる新十三大橋(十三バイパス)、十三大橋 、新淀
川大橋、 長柄橋、商売繁盛をもたらしてきた「浪華の八百八橋」。
グッドデザイン・ロングライフデザイン賞に選ばた品があり高級感溢れ、
いつもピカピカのマルーンカラー電車が京都や神戸、梅田と忙しく往来している。
阪急中津駅プラットホームにグレーの襟を立てたおじさんが背中を丸める。
目線を上がれば、雪の影響で大分から6分遅れでふわっと飛来して来たJAL2364が、伊丹国際空港に向かい優雅に着陸態勢。
再び、目線を落とす。
めったに往来がない梅田貨物線(梅田線)、13:30に新大阪駅11番線からリリースされた特急「はるか29号」が天王寺駅15番線に向かいガタンゴトン。
外では冬将軍が猛威を振るっている。
始めてじっくり眺める地上100mから見るホンマモンのジオラマに心動かされる。
ガラスには半年間の激動がうっすらと映し出され、右から左に流れて行く。
ここまで来たか。